キャットフードの添加物(トコフェロール)
キャットフードは猫が主食としている食べ物です。そのためできることなら、添加物を一切使用していないフードを与えることが理想です。
しかし、製造から猫が食べるまでの時間や、開封後の保存のことを考慮すると、最低限の酸化防止剤は必要です。
そこで今回は、キャットフードの添加物の一つである、トコフェロールについてご紹介します。
トコフェロールとは、ビタミンEのこと
キャットフードの原材料に、トコフェロールという素材名が表示されていることがあります。トコフェロールとはビタミンEのことで、フードを開封する際に起る酸化を遅らせる効果があります。
(これを抗酸化作用という) トコフェロールによる抗酸化作用は、体内の活性酸素の働きを抑える効果があり、疲労回復や美肌にも効果があります。
但し、トコフェロール(ビタミンE)は脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されやすく、過剰に摂取すると、臓器に負担をかけてしまうため、摂取量には注意が必要です。
トコフェロールには、合成型、天然型、天然の3種類がある
トコフェロールには、合成型、天然型、天然の3種類があり、身体への負担が少しずつ異なります。以下では、3種類のトコフェロールをご紹介します。
合成型トコフェロール
合成型トコフェロールとは、素材となる原料を化学反応させ、人工的に製造したビタミンEのことです。別名、酢酸ビタミンE、トコフェロール酢酸エステル、酢酸dl-α-トコフェロール といわれており、キャットフードの原材料として使用されていることがあります。
天然型トコフェロール
天然型トコフェロールとは、植物油から抽出したビタミンEに酢酸を付け、安定させたものです。別名、ミックストコフェロール、酢酸d-α-トコフェロールと呼ばれています。
天然型トコフェロールは目薬や化粧品に使われていることが多いです。
また、キャットフードの酸化防止剤として天然型トコフェロールが使用されていることもあります。
天然トコフェロール
天然トコフェロールとは、植物油から抽出したビタミンEをそのままの形で安定させたもののことです。別名、d-α-トコフェロールと呼ばれています。
3種類のトコフェロールの中で最も効力が高く、特別な技法を必要とするため、天然トコフェロールが使用されているキャットフードはかなり高価です。
トコフェロールは良質な酸化防止剤だが、抗酸化効果が弱い
トコフェロールは天然由来の酸化防止剤です。そのため、BHAやBHT、エトキシキン(※1)といった人工由来の添加物に比べ、猫の身体に負担をかけにくいです。
また、酸化防止剤として使用しつつ、アンチエイジングもできるので、高齢の猫に与えることもいいでしょう。
その一方、酸化防止剤としての効果が弱いという欠点もあります。
トコフェロールを酸化防止剤として使用したキャットフードは、開封から1ヶ月程度でその効力を失います。
キャットフードは脂質を多く含んでいるため、酸化によって劣化をすると、下痢や嘔吐の原因になるため、フードを猫に与えることが出来なくなってしまいます。
そのため、トコフェロールを使用しているフードを与える場合、猫が1ヶ月に食べ切れる分のフードを、1ヶ月に1回、購入するようにしましょう。
(※1)BHA、BHT、エトキシキンとは
BHA、BHT、エトキシキンとは、酸化防止剤の一種で、強い抗酸化作用があります。
ペットフード安全法により、この3種類の添加物は合計で150μg/gと、使用限度量が決められています。
これらの添加物を問題視している専門家もおり、良質なフードを猫に与えたい飼い主さんは、避けるべき添加物の一種です。
トコフェロールはプレミアムキャットフード(※2)に使用されていることが多いです。
その理由は、業者が安価で仕入れることが難しく、激安で販売されている大袋のフードに使用しても、賞味期限が持続しないためです。
良質なキャットフードを見分けるポイントとして、トコフェロールの使用をチェックするといいでしょう。
(※2)プレミアムキャットフードとは
プレミアムキャットフードとは、良質な食材を使用した高価なキャットフードのことです。
ドイツやカナダではプレミアムキャットフードが一般的に販売されており、人間が食べてはいけない食材をキャットフードに使用することが、法律で禁止されています。
そのため、これらの国から輸入されたキャットフードを好んで購入する飼い主さんもいます。